世界最高品質を目指すSiC(シリコンカーバイド)溶液成長
SiCの本格普及には高品質がカギ!
次世代パワーデバイス半導体として注目されているSiCは、優れた特性を有しており劇的な省エネを推進することが可能です。
SiCパワーデバイスの本格的な実用には、欠陥密度低減と結晶多形の制御が必須です。
我々のグループでは溶液成長法によって、高品質のSiCの結晶を成長を行っています。
(図は、SiC結晶表面のスパイラル成長。)
究極の高品質化への道筋を掴んだ!
放射光X線トポグラフィーによる欠陥解析の結果、溶液成長法によって成長した結晶中には、基底面転位(BPD)がほとんど無いことが明らかとなっています。
また、ステップフロー成長によって成長を行った結晶では、デバイス特性に悪影響を及ぼす貫通らせん転位(TSD)が、基底面上の異なる欠陥に変換していることが、我々の研究により明らかになりました。
この欠陥の変換によって、大幅な欠陥密度の低減、究極的には無転位結晶も現実味を帯びてきました。
(図は、成長前後によってラセン転位が転換した様子を表す放射光トポグラフィー像。)
多形の新しい制御法を提案し、バルクに近いキュービックSiCを実現
SiCは様々な結晶構造(多形)を有し、多形ごとに異なる物性を示すことが知られています。
我々は、成長速度の高い多形を優先的に成長することで、他の多形を駆逐する、「成長速度論的多形制御」による多形選択成長を新たに提案しました。
この方法で、3C-SiCと6H-SiCの成長速度の過飽和度依存性の差を利用して、自由に多形を制御する事に成功しました。
(図は、本手法により作り分けた3C-SiCと6H-SiC)
実験装置とメンバー

高周波加熱型結晶成長炉

顕微ラマン散乱装置(現在UVレーザー取付中)
KEK-PF放射光トポグラフィー
メンバー